鍼灸って、実際どうなん? 知ってるようで知らない鍼灸治療について、ざっくり解説

2016年02月08日

    鍼灸って言葉は知ってても、実際はどんなものなのか。
    よく知らない、わからない人が多いと思います。
    「なんか、効くらしい」
    「腰痛とか肩こりにいいらしい」
    「でも、なんか怖い」
    これが一般的なイメージではないでしょうか。

    ここでは、鍼灸治療の内容について、ざくっと説明します。

    大きく分けると2タイプ

    鍼灸治療にも、いろいろなやり方があります。
    まず、大きくはふたつに分かれます。
    『西洋医学寄りの鍼灸』と『東洋医学寄りの鍼灸』
    このふたつです。
    「解剖学や運動学からアプローチする鍼灸」(西洋医学寄り)と、
    「気血水、五行陰陽説、経絡などからアプローチする鍼灸」(東洋医学寄り)
    (西洋医学、東洋医学という言葉は、厳密ではないのですが、便宜上、使用します)

    ものすごく大ざっぱに言うと、
    痛む部位の筋肉や支配神経、関連する関節などからどこに鍼をするかを考えるのが、「西洋医学寄り」の鍼灸。
    痛む部位がどの経絡に属するか、また体や症状が虚が実か、そういう見方をするのが、「東洋医学寄り」の鍼灸です。

    「東洋医学寄り」の方は、なんのことか、さっぱりわかりませんよね?
    経絡とか、虚とか実とか、まるで馴染みのない考え方なので、とてもわかりにくいと思います。
    そして、この考え方が理解できない鍼灸師も、たくさんいます。
    理解できなくても、肩こりや腰痛など、いわゆる疼痛治療は問題なくできることが多いです。凝ったところ、痛むところに鍼やお灸をすれば、効果があります。筋肉を緩めたり、血行を良くすることができます。
    また、胃痛や便秘など、こりや痛み以外の治療でも「定番のツボ」というのがありますので、東洋医学を理解していなくても、なんとかなります。

    なので、「西洋医学寄り」の鍼灸の方が一般的というか、やっている院が多いように思います。
    多くの人が持っている「鍼灸」のイメージはこちらだと思います。

    でもこれは、本当に、ものすご~~~~く大ざっぱな分け方で、100人の鍼灸師がいれば100通りのやり方があります。
    「西洋医学寄り」であっても、東洋医学の考え方を取り入れていることもあれば、「東洋医学寄り」でも解剖学から考えることもあります。

    鍼灸ってなにに効くの?

    WHOが鍼灸が適応するとした疾患には、このようなものがあります。

    • 神経系疾患
      • ◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
    • 運動器系疾患
      • 関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
    • 循環器系疾患
      • 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
    • 呼吸器系疾患
      • 気管支炎・喘息・風邪および予防
    • 消化器系疾患
      • 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
    • 代謝内分泌系疾患
      • バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
    • 生殖、泌尿器系疾患
      • 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
    • 婦人科系疾患
      • 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
    • 耳鼻咽喉科系疾患
      • 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
    • 眼科系疾患
      • 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
    • 小児科疾患
      • 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

    かなり範囲が広いですよね。
    運動器系疾患ぐらいしか適応がないと思っている方が、多いのではないでしょうか。

    怖いというイメージ

    鍼灸治療を受けたことがない人は、たいてい開口一番、こう言います。
    「怖い~」「痛そう~」
    鍼を刺す、という言葉から、注射をぷすぷすされるようなイメージに繋がるみたいですね。

    治療に使う鍼は、注射針よりかなり細いものです。
    私が主に使っているのは、1番という太さのもの。直径が0.16㎜です。

    鍼

    上が鍼、下はシャーペンの芯です(0.5㎜)。
    鍼の左側(太くなっているところ)は、持ち手のようなもので、尖端は右側です。
    写真ではわかりにくいですが、鍼の太さはだいたい髪の毛ぐらいか、髪の毛よりも細いぐらいです。
    痛いか? というと、ほぼ痛くないはずです。少しちくっとすることもありますが、刺入時に刺されたと感じないことも多いです。ただし、「痛い」とは違う感覚はあります。刺される痛みではなく、体の内側で感じるもの、“響く”と表現しますが、じんわり拡がる感じだったり、うぉ~となる感じだったり、痛みとは違う感覚があると思います。

    「怖い」というイメージは、鍼を刺すという行為が、体に傷をつけられるように思われるからでしょうか。体の内側は見えないので、見えないところになにかされる感覚もあるのでしょうか。
    鍼灸師は、人の体に鍼を刺したり抜いたりします。見えない内側にはたらきかけます。なので、解剖学の知識が必須です。
    鍼灸師になるための勉強は、ツボとかを覚える勉強、と思われていますが(笑)、実際には解剖学・生理学・病理学などの基礎医学がほとんどです。ですから、今ふれている部位にどんな筋肉があり、神経があり血管があるかなどを知っています。決して感覚だけでふれているわけではないのです。

    なぜ効くのか?

    鍼灸治療は自律神経系に作用し、血行を良くすると言われています。
    とはいえ、実際にはきちんとしたエビデンスがほとんどありません。なぜ効くのかをきちんと説明することは、難しいです。
    また、自律神経に作用し云々では説明しようのないものも多くあります。
    たとえばぎっくり腰に腕にあるツボを使ったり、耳鳴りに脚のツボを使うなど、なぜ効くかの説明はできません。(陰陽五行に基づいた理論はあるのですが)
    「プラセボである」と結論された研究もあります。
    鍼灸師の技量差も大きく、治療の形態(直接肌にふれる・1回の施術にそれなりの時間がかかるなど)から、心理面に与える影響も大きいので、きちんとエビデンスをとるのは難しいでしょう。
    ですから、似非科学だと言われてもしかたのない面はあります。
    けれど、実際に効果があるのを経験(受けた施術、見た施術、した施術において)している者としては、

    「なんかわからんけど、とにかく効く」

    としか言いようがありません。


    以上、ざっくりと、大ざっぱに解説させていただきました。

    鍼灸師の私としては、やはり、一度は施術を受けてみて、と思います。
    「怖い」というイメージだけで敬遠しないでほしいなと思うのです。
    ただ、現実として、痛いわ効果はイマイチだわの治療しかできない鍼灸師も、いるにはいるのです…苦笑
    (これは鍼灸師に限らず、どんな業種でも言えることだと思います)